昔話の続き 完結編 脱稿まで11年かかりました

再掲載 確か2010年年末 
12月29日から31日 燕岳
燕の前の八ヶ岳から冬型の天気が続き、燕は寒い寒い本格的冬山登山になりました。12月29日 朝は晴れて青空だったのにお昼には雪。ゲートから舗装道路を12キロ歩くのが今日の仕事。三年ぐらい前に来た時もウンザリだったが、今回も中房温泉まで◯◯キロの標識が減るのを楽しみにノンビリ歩く。時速3キロのペースで四時間。時折枝から雪爆弾が落ちてくる。中房温泉はカビ臭いですが、お風呂は最高。珍しく二回も入りました。30日は楽勝気分で合戦尾根を登り始めましたが、結局6時間近くもかかりました。31日朝は、マイナス20度!風は昨日より少し弱かったので、燕岳を往復。冬山の一番の敵は、やはり風!冷たかったです。あとは長い下山。12月31日17時車に乗る。今年も無事終わりました。
と、思いましたが、苦難の道は終わっていませんでした。名古屋までは、中央道でスムーズに帰ってきましたが、寒波で特に、西日本に大雪が降っており、名神高速・新名神が通行止め、それではと、中央道から、東海環状、伊勢湾岸道から名阪国道で帰るか。と気楽に考えていたのですが、名阪国道も雪で渋滞30km。これは大変と、国道165で帰ろうか、166で帰ろうかと迷いましたが、165も名阪国道の迂回路で混雑していると思い、安全策を取って、もっと南の166へ、12月に局ヶ岳に行った時の道なので、安心と思っていたのですが、奥香肌峡あたりから、路面に雪がでてきて雪も降り出し、進むほど、車もいなくなり、2車線の道路の真ん中に車の轍が2本となり、積雪は30cmを超えてきました。しかし、どこにも迂回路はなく、帰ると決めたからには、帰る!とラジオで紅白を聞きながら強引に進みました。車はエクストレイルのディーゼル四駆、ルノーエンジンのマニュアルミッション車だ。もちろん四駆モードにして、デフロックしてタイヤはスタッドレス4本。問題は高見峠、あのトンネルさえ超えれば大丈夫!上り坂になり、もう方向転換もできないようになり、積雪50cm。もう一旦止まったら動けなくなるのは明白!祈るような気持ちでスピードを落とさないように強引に登って行くと、前方にトラックのテールランプが、、、あと200mでトンネルという所でトラックが動けなくなっていました。万事休すとはこのことか。大晦日なのに。積雪は新雪が60cmになっており、どうしようと思案、トラックは何度も滑り、どんどん横を向いてきてもう動けません。もうこうなったら新雪60cmを行くしかない。トラックの轍をはずれ何度か、車を前後させ、トラックの横をなんとか抜け、これで帰れると思ったが、今度は自分の車がスリップしてとうとう前にも後ろにも行けなくなりました。

続く!

燕岳 寒かったなー マイナス20.8度

あと200m。トンネル入り口が見えています。ドア上20cmほどまで雪が積もっていましたが強引に開けて足で後ろのタイヤの部分を除雪しバックはできました。20mほどバックして勢いつけて前に行きますが、雪が深すぎて車に大きなショックがかかって車が潰れそう。無理です。どうしようか?もうすぐ紅白も終わってしまう。除雪車が来るまで無理か?とあきらめかけましたが、あと数分で正月である。風呂にも入りたい。向こうから対向車が轍を作ってこないかな?と期待しましたが来るわけないです。うーん、万事休す。なんか方法はないか。と頭を絞りまくると、良い物を持っていることに気づきました。スコップです。雪山用のシャベルがある事を思い出しました。長靴の上まで来る雪の中にでて、バックドアを開けてシャベルとグローブを取り出しました。ダウンも着ます。帽子もかぶります。雪山装備は役にたちます。新雪なので軽やかにタイヤ分のみ50mほど除雪しました。アスファルトが出るまで掘るのにちょっと苦労しましたが合計1時間もかからなかったです。様子見でそろそろ前に動かすとなんと動きます。頭にちらっとトラックの運ちゃんが浮かびました。シャベルを貸してあげれば動くかも!しかし、こちらもやっと動き出したのでもう止まりたくない。スピードを上げて勢いつけてトンネルを目指しながら、トラックを見捨てました。ああごめんなさい。除雪した所があっという間に終わり、また新雪!勢いを保ったままアクセルを踏みます。トンネルが近づくと積雪が減り車は加速し、オレンジのトンネル照明の中に飛び込み成功!やったーこれで帰れると雪のないトンネルを越え、緊張しながら出口へ向かう。トラックさん見捨ててごめん。出口からは緩やかな下り坂、また明らかに積雪量も減って30cmぐらいになり、ちょっと安心。時間はとっくに12時を過ぎ元旦になってしまった。だがまだっまだ戦いは続く。まだ人家はなく川沿いだが対向2車線の道路をまずまずのスピードで進む。対向車も前走者の轍もなく道路の真ん中を行く。あれ、何か雪の中に埋まっていると思った直後、何かを乗り越えたような衝撃!木が道路に倒れている。雪の重みで木が折れてるんです。その先には竹藪から竹が雪の重みでしなって、道路に数十本も倒れ、その上に雪が積もっているので見えなかったんです。とても雪を掘って竹を起こすこともできず、やけくそで車でゴンゴン竹を乗り越えました。人家もちらほら出てきて、積雪も20cmほどになり大安心、よく知っている道を選んで169を上市経由で309を水越トンネルを越えていく。水越峠は雪は少しあったが、今までの苦労を考えるとなんてことはない。大阪府に入れば雪はなく疲れ切って家に到着。ガレージに入れて降りたら、天上には30cmほどの雪が載ってました、、、、、、まるで雪国みたい。AM5:00、12時間の戦いは終わりました。山よりだいぶドキドキした長時間ドライブでした。